山本こういち

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警察官が制服でスーパーに寄るのは「不謹慎」?

|Date:2021年6月30日 | Category: |

先日、市民の方が事務所に来られ、お怒りの様子で次のように話されました。
「スーパーで買い物をしていたら、警察官がパトカーで乗り付け、制服で弁当を買って帰った。税金でガソリンを使って、昼飯を買うという私用に使うとは、いったい何事か」。こんな趣旨のご意見でした。

すぐに、地元警察署の総務課長にお伝えしたところ、次のような回答がありました。
「実は、そうした行為は進んでさせるようにしているんです」。えっ?
詳しく聞いてみると、次のような事情があるとのことでした。

平成18年ごろ(2006年前後)コンビニ強盗が多発し、社会問題となりました。
それを受け、業界団体から「パトロールを強化してほしい」との要請があり、福岡県警で検討した結果、次のような取り決めを行い、県内各署に伝えたという事です。
・パトカーでのスーパー、コンビニへの立ち寄りを是とする
・制服での店内立ち入り、買い物を是とする

それまでは、派出所や各署に勤務する警察官は人目を気にして着替えたうえで店に買い物に出る場合が多かったそうですが、犯罪抑止、パトロールの一環として、パトカーでの店舗立ち寄りおよび制服での買い物に「お墨付き」が出たということです。

警察官は、当番勤務時間内はすべての時間が警戒態勢で、食事中も睡眠中も「出動スタンバイ」の状態でいなければならず、いちいち制服を脱ぎ着している合間に事件が発生すれば初動に支障をきたす可能性もあります。スーパー・コンビニで制服で買い物をしている警察官の姿は、常に臨戦態勢である証拠、ということなんだそうです。

上記のような事情を、冒頭の「お怒り」だった市民の方にお伝えしたところ、納得された様子でした。

SNS等では、よく「公務中の人間が制服でコンビニに寄るとはけしからん」という意見を見かけます。しかし、何事もよくよく事情を調べてみないと、わからないこともあるものですね。今回は私も勉強になりました。

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